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映画に感じた能の要素

こんばんは、文学部のIです。

最近は雨ばかりですね。部屋の中で聴く雨音は好きなのですが、外出中に雨に降られるのは嫌いです。

さて、今回は最近見た映画作品の中で「これって何となく、能の影響を受けている気がするな」と思ったものについてお話します。

有名な作品ですし、今更紹介しても…とは考えたのですが、一度こういうテーマについて語ってみたいと思ったので語らせてください!

本日取り上げたい映画作品はこちらです

『乱』(監督・黒澤明、1985年)



邦画作品が好きな方なら見たことがあるかもしれませんね。

ちなみに私はつい最近初めて見ました。

作品自体の概要は以下のサイトから閲覧することができます。

ここでも説明されているのですが、おおよそ「戦国時代設定の『リア王』」のようなお話です。そこに、かの有名な毛利元就の「三本の矢」の故事が掛け合わされています。

黒澤明の作品の中でも、傑作と名高いようですね。

キャスティングに関して言及すると、お抱えの狂言師・狂阿弥の役をピーター(池畑慎之介)さんが演じていたり、鶴丸(主人公・秀虎の仕打ちにより視力を失った少年)の役を野村萬斎さんが演じていたりと、なかなか興味深いと感じるところがあります。

~能の影響を感じたところ~

個人的には、まずなにより主人公・秀虎を演じる仲代達矢氏の表情に対して、能面のようなものを感じました。

細かいネタバレは避けますが、秀虎は自分の息子たちから攻撃を受け、非常に苦しみます。そしてその末に自我を失い、野を彷徨うようになります。

この茫然自失状態の秀虎の表情は、上手く言い表せないのですが、「人ならざるもの」を感じさせるものです。能面で表すとするなら、蛙のようでもあり、癋見(べしみ)のようでもあり…ぜひ一度見ていただきたいです。

メイクなどの影響もあるとは思うのですが、人間がこんな人間離れした表情を作ることができるのかと、非常に感心しました。

 黒澤明氏は他作品『蜘蛛巣城』において、俳優に能面の「平太」や「曲見」を見せて、演技指導をしたという話が知られています。もしかしたら、『乱』においても同様の指示をしたのかもしれませんね。

その他に能の影響を感じたところとしては、「鶴丸」というキャラクターについてです。このキャラクターを見た時、ぱっと思いついたことは「これは『弱法師』…?それとも『蝉丸』…?」ということでした。

『弱法師』『蝉丸』は共に過酷な運命に翻弄される、目の見えない青年を主人公とする物語です。これらの設定に完全一致するわけではありませんし、影響関係が明言化されているわけではありません。しかし、その相貌や言動、たたずまいから、これらの能のエッセンスを感じました。

 以上、映画『乱』と個人的に感じた能の要素でした。とてもふんわりとした話になってしまい申し訳ありません。

 著作権のことなどを考えてあまり画像を用いることが出来なかったのですが、少しでも『乱』に興味を持っていただけたら嬉しいです。名作なので、能についての知識がなくても十分に楽しめますが、能について少し知っていれば「これってもしかして○○なのか?」などと考えながら、より楽しめると思います!

能はその他にも、色んな作品に繋がっていっているものだと感じています。そのため、能の経験や知識が、他の芸術ジャンルの受容にも役立っていくのだと思います。

もっと面白いものを紹介できるように、自分自身探求していきたいと思います。

それでは皆様、おやすみなさい。

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