こんばんは、文学部4回生のIです!
今日は大学の図書館で卒業研究に必要な本を借りるために、久々に大学に行きました。(ちゃんとマスクをつけていきました。)
大学内や百万遍周辺にはやはり殆ど人がおらず、何となく寂しくなってしまいました。早く元通りの学生生活を送れるようになれば良いなあと常々思います。
さて、今回は皆さんに本を一冊紹介したいと思います。自粛期間中、本を読んで過ごすことも多いのではないでしょうか。
そんな皆さんに、能に関連する本で、かつ能を全く知らない人でも楽しんで読める本をご紹介します。
『近代能楽集』三島由紀夫著(1968年)新潮文庫
(汚い写真でごめんなさい)
この本は、『金閣寺』『仮面の告白』などを著した三島由紀夫が書いた戯曲集です。
8本の能の作品を「近代的な」演劇として再演出している点が、大きな特徴です。
作品によって、内容や結末が大きく変更されているものから余り変わっていないものまで、様々です。
また、取り上げられている作品は「邯鄲」「卒塔婆小町」「葵上」「班女」など、能の中でも名作や大作として知られているものばかりです。
これらの能の名作や大作を、あの三島由紀夫が演出したらどうなるのか…皆さん気になりませんか?
私は能楽部に入部して1年くらい経ってからこの本を読みましたが、特別な能の知識は全く必要なく、一つの戯曲集として楽しむことが出来ました。土台になった能の作品のあらすじと比較しながら読むと、より面白いと思います!
(これは余談ですが、能の曲のあらすじや曲中に現れる詞の意味を理解するのには、岩波書店の出している『新日本古典文学大系 謡曲百番』等がオススメです。京大の附属図書館にあります。)
何となく「難解で高尚」(ある意味その通りなのですが…)と思われがちな能ですが、この本を読めば「能=現代のわれわれにも共通する人間の哀しみや喜びを描いた物語」ということが、ご理解いただけるのではないかと思います。
勿論、通常の謡本などを読む中でもこのことは分かることなのですが、舞台設定が現代により近いものになれば、より伝わりやすくなるところもあるのだろうと考えています。
(またまた余談になりますが、この書の巻末解説を書いたドナルド・キーンは、三島が能のコトバよりも能のココロを描くことに拘ったのではないか、と語っています。)
一篇が50頁ほどなので、比較的すぐ、簡単に読むことが出来ます。また、文庫本なので一冊520円+税とリーズナブルです。興味を持たれた方は、ぜひ書店や図書館で探してみてください。(そして感想をこのブログのコメント欄などにぶつけてくださるとうれしいです…。)
ちなみに、この本は最近余り出回っていないようで、私は京都の図書館や書店を7軒くらい回ってやっと見つけました…。(ちなみに発見したのは、今年の二月に閉店したジュンク堂書店の京都店です…)いまはどこに置いてあるのでしょうか…。
それでは、今回はこの辺りで終わりにします。
それでは皆さん、おやすみなさい。
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